第31回太田ステージ研究会まとめ ~参加者アンケートより~


 

31回太田ステージ研究会は、新型コロナウイルス蔓延により、初めてのリモート開催となりました。手探りの運営で行き届かないことも多い中、たくさんの方にご参加いただきましてありがとうございました。

 アンケートには今後に活かしていきたいご意見を多く寄せていただき、大変ありがたく思っております。いただいたご意見をご紹介しつつ、総括させていただきます。

 

<参加者の内訳>

例年の参加者は平均80名くらいですが、今回の最終参加者は181名と大変多くの方にご参加いただきました。内訳は会員が4割、非会員が6割でした。職種別では、教育領域4割、心理領域3割、福祉領域2割、医学領域(リハ含む)1割と、多岐にわたっていました。太田ステージ研究会は、職種を越えて発達およびその障害のある方への支援について語り合うことを大切にしておりますので、今回も幅広い領域から参加いただけましたことを、事務局一同、嬉しく思っております。

 

<リモート開催・運営について>

特に遠方の方からリモートで参加できてよかったというご意見を多くいただきました。一方で、一般演題のディスカッションや他の参加者との交流は、実際に対面することでより一層活発になるため、やはり可能なら対面での開催をご希望する声も同様にたくさんいただきました。事務局としても、リモートと対面それぞれの良さを痛感する機会となりました。できる限り対面での開催を基本としつつ、今回経験したリモートの長所をうまく取り入れることなども含め、皆様に気持ちよく参加いただけるよう検討してまいります。

配信期間をどのくらいとるか思案しておりましたが、「期間が長く取られていてゆっくり視聴できた」というご意見が多く、安堵いたしました。誰にとっても不慣れなリモートという形態に、できるだけ丁寧にと心がけたつもりでしたが、お申込みの流れ、オンデマンド型(一定期間の動画配信)であること、資料のダウンロードができること、討論をYouTubeのコメント欄で行うことなどについて分かりにくく感じられた方も一部いらしたようで、次回同様の形態で行う際にはさらに気をつけていきたく思いました。

 

<企画1「太田ステージの基礎を改めて学ぶ」について>

 例年はシンポジウムとしてその時々のテーマについて、複数のシンポジストから話題提供いただき討論する形をとっているのですが、今回は標記のタイトルでの講演を4題準備いたしました。これは、毎年8月に3日間かけて太田ステージについて学んでいただく「自閉症セミナー 認知発達治療の理論と実践」のエッセンスをお伝えするような内容でした。こちらは特に非会員の方…これから太田ステージを学んでいきたい・職場で活用していきたいという方々に好評だったようで、今後さらに多くの実践事例や具体的な対応等について知りたいという意見が多く寄せられました。以下、代表的なご意見を抜粋いたします。

 

・何度聞いても新たな気づきがあり、今後も学び続けたいと思いました。(会員)

・太田ステージ作成の歴史や背景、本のデザインの意図など、これまで積み重ねられてきた知見や経験、想いを知ることを通して、太田ステージの考え方、大切にしていることを深く理解することができました。(会員)

・太田ステージへの理解や解釈が不十分だったことを反省しました。またぜひ基礎編の機会をいただくことで学び直しの機会としたいです。(会員)

・動画なので何度も視聴することで、理解が深まりました。(非会員)

・日々の活動の現場で活用できる内容でした。(非会員)

・今後に活かしていきたいし、さらに学び続けていきたいです。(非会員)

 

<企画3 一般演題発表について>

興味深かった演題を挙げていただいたところ、最も多く数字が集まったのは、演題⑦「StageⅤ以上の治療教育~高機能ASDの青年が他者に相談できるようになるまでの経過と働きかけ~」であり、StageⅤ以上への関心の高さを改めて実感しました。思春期以降の方が小さい頃から通っている安心できる場所で、ステージも踏まえてきめ細かに相談に乗ってもらえるのは幸せだなと思った、このような支援がもっと当たり前に受けられるようになったら良いなと感じた、通常の学校のお子さんにも適用可能と感じた、引き続き学びたいなどの感想が届いております。

次いで、演題⑥中学校における発達障害理解教育の授業実践―生徒への事前・事後アンケートの分析を通して―が挙げられ、こちらには、重要かつチャレンジングな試みである、中学校の授業で必要だと思った、社会における障壁があってこその障害という「障害」という言葉そのものに対する正しい理解を促すことが重要と感じたなどのご意見が寄せられていました。

紙面の関係上、残念ながら全てに言及できませんが、個別の演題へのご感想がある場合、発表者の方々には、別途お届けすることといたしました。

 

 

その他、全体について代表的なご意見をご紹介いたします。

・太田ステージを中心にして、様々な年代・職種の発表があって、とても有意義でした。

・取組の具体例がわかり、実践的な学びになりました。

・太田ステージは簡便な検査ですが、ステージⅠ〜ステージⅤ以上まで幅広い実態を網羅できるところがとても使いやすいと思います。

・学校や施設等の様々な場所で、年齢も障害の程度も多様な対象の方に、太田ステージの視点を活用した支援が行われていることを知り、どの演題も大変興味深く視聴させていただきました。

・各々の現場で真摯に子どもに向き合い、考え続け、新たな道(解答の見えない道)を歩くのは苦しく、大変なことも多いと思いますが、そこへ少しでも近づこうとする姿勢に大きな勇気をもらいました。

 

 

なお、当会の一般演題は、太田ステージを用いたものを中心としておりますが、必ずしもそれだけではなく、人間の認知や情緒の発達、そしてその障害への支援についての研究や実践の報告であれば、広くご応募いただける形としております。参加者が幅広い視点を持てることを目指し、今後も様々なご発表を積極的にしていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

                 

<まとめ>

 おおむね好評に終わることができまして、事務局一同安堵しております。動画作成にチャレンジしてくださった発表者の皆様、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。

太田ステージ研究会は、様々な職種が集い、人間の発達の科学と、発達段階に即した適切な働きかけを追求する場として、今後も活動していきたく思っております。ホームページも少しずつ活用しやすくしてまいりますので、時々訪れてくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。