「太田ステージ評価」は、シンボル表象機能の発達段階をみる評価法である。小児自閉症(現:自閉スペクトラム症)は、記憶系の能力が高い一方で、シンボル表象の形成不全、すなわち比較の概念や基本的な空間概念等の形成に特異的な障害がある。それらの障害をふまえて、ピアジェ(Piaget.J)やワロン(Wallon.H)などの認知発達理論における発達の節目に着目して、発達段階を設定したものが「太田ステージ評価」である。
太田ステージ評価は大枠ではステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ-1、Ⅲ-2、Ⅳ、Ⅴ以上の6段階に分けられる。「言語解読能力テスト 改訂版(Language Decoding Test-Revised; LDT-R)」による具体的な操作基準により段階分けが可能になっている。
その利点としては、
第1は、その子どものシンボル表象機能の段階分けがわかること、
第2は、その子どもの行動の意味がわかること、
第3は、治療教育の手立てがわかること、
第4は、共通の基盤に立って治療教育の適切性が検討できること。
第5は、検査は簡便で短時間で行えて客観性があること、
などがあげられる。他の発達障害の発達評価にも用いられる。
小児自閉症(現:自閉スペクトラム症)は太田ステージ評価による発達段階の課題によく取り組む特徴があり、この特徴に応じた治療教育的アプローチを認知発達治療と呼んでいる。各ステージ別に、治療教育の目標、課題の選定、プログラムの組み立て、留意点が整理されており、その目標は3つの次元から設定されている。第1次元は、自閉症の子どもたちの認知・情緒発達を促し、自分で行動のコントロールができるようにすることである。このための働きかけを認知発達学習と呼んでいる。第2次元は、個々の生活技能を獲得することである。第3次元は、異常行動や不適応行動を予防し、減弱することである。
(2012年 太田)
太田ステージ研究会
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